歌舞伎町の客引き・キャッチには付いて行かない:断り方と自衛策
歌舞伎町の客引き・キャッチには付いて行かないのが基本です。新宿区の条例は禁止行為にキャバクラを名指しで挙げ、客引きから紹介された客を店に入れることも禁じています。条例の中身と断り方、自衛策を来店客の視点で整理します。
歌舞伎町で夜に街を歩くと、通り沿いで声をかけてくる「客引き(キャッチ)」に出会うことがあります。結論から言うと、客引きには付いて行かないのが安全な入店の基本です。「一度くらいなら」と思わせるところに客引きの入口がありますが、付いて行かないほうがよい理由は、印象論ではなくはっきりした形で説明できます。
客引きとは
客引きとは、路上などで通行人に声をかけ、特定の店へ連れて行こうとする勧誘行為です。「安くしますよ」「いい店ありますよ」と気軽に声をかけてくるのが典型で、そのまま案内に従うと、自分で選んでいない店に入ることになります。
ここで押さえておきたいのは、歌舞伎町の客引きには東京都の迷惑防止条例と、新宿区の条例の両方が働いていることです。とくに後者——新宿区公共の場所における客引き行為等の防止に関する条例(平成25年9月1日施行)は、歌舞伎町の客引きを名指しで扱っています。
新宿区が示す禁止行為は3つです。
- 客引き行為:通行人等不特定の人の中から相手方を特定して、居酒屋・カラオケ店・キャバクラ・ホストクラブ・ファッションヘルス等へ誘う行為
- 勧誘行為(路上スカウト):同じく相手方を特定して、キャバクラ等での勤務やアダルトビデオへの出演等を勧め誘う行為
- 客待ち・勧誘待ち行為:上の2つをする目的で公共の場所で相手方を待つ行為(うろつき、たたずみ、たむろすること)
条文の例示に「キャバクラ」が明記されている点は見落とされがちです。つまり歌舞伎町のキャバクラの客引きは、条例が想定していない例外ではなく、まさに条例が名指しで禁じている対象です。この条例には客引き行為等防止特定地区が定められており、歌舞伎町1丁目・2丁目はそこに含まれます。あなたが声をかけられているその場所が、まさに指定区域です。
店側にも「入れるな」と課されている
ここが、この記事でいちばん知っておく価値のある部分です。
新宿区はこの条例を平成28年4月に改正し、「客引き行為等を用いた営業の禁止」を定めました。その中身は、客引きから紹介された客を店舗に立ち入らせないこと、そして客引き防止について従業員を指導・監督することです。
読み替えると、こうなります。客引きについて行ったあなたを店に入れること自体が、店側の違反にあたる。
だとすれば、客引き経由のあなたを笑顔で迎え入れる店は、危険かどうか以前に、その入口の時点で条例を守っていない店だと分かります。「この店は当たりかもしれない」という期待は、ここで崩れます。ルールを守らない店が、料金だけは誠実に扱うと考える理由がありません。
罰則の構造
「どうせ注意されて終わりでは」と思うかもしれません。区が定める段階はこうです。
- 指導 → 警告 → 勧告 → 公表・過料の4段階
- 過料は5万円以下
- 両罰規定があり、行為者だけでなく、その法人や人にも科される
- 公表される内容は、氏名・住所(法人なら法人名・所在地・代表者の氏名)、違反した店舗名と所在地、違反行為の内容
罰則規定は平成28年6月1日から適用されています。店名と代表者の名前が公表される、という点が実務上は重い。声をかけてくる相手にとっては軽い一声でも、その先の店にとっては軽い話ではありません。
付いて行くことのリスク
客引きに従って入店すると、次のようなリスクが生じやすくなります。
- 料金を自分で確認できない:どんな料金体系の店か、事前に自分で調べたうえで入っていないため、会計時に想定と食い違いやすい
- 店の実態がわからない:外観や公式情報を自分で確かめる前に案内されるため、どんな店か把握しにくい
- 断りにくい状況になりやすい:案内されるまま入ってしまうと、その場の流れで引き返しづらくなる
料金トラブルの具体的な避け方はぼったくりを避ける:料金トラブルの回避法で詳しく整理しています。客引き経由の入店は、こうしたトラブルの入口になりやすい点を知っておいてください。
声をかけられたときの対応
客引きに声をかけられても、身構えすぎる必要はありません。基本の対応はシンプルです。
- 立ち止まらない:立ち止まると会話が続いてしまうため、歩みを止めずに進む
- はっきり断る:「大丈夫です」「行きません」と短く断り、相手の話に付き合わない
- その場を離れる:人通りの多い明るい道へ移動する
しつこく付いてくる、腕を引くなど怖いと感じる状況になったら、無理に対応せず、コンビニや駅など人のいる場所へ移動しましょう。危険や不安を感じたときは、警察相談専用電話 #9110 に相談できます。緊急でその場の助けが必要なときは 110 です。
自分で店を選んで入る
安全な入店の基本は、声をかけられた店ではなく、自分で選んだ店に入ることです。
- 事前に公式サイトや店頭の料金表示を確認しておく
- 料金や仕組みを自分で把握してから入店する
- 気になる店は、案内ではなく自分の判断で入口へ向かう
どんな店なら安心して入れるかの見分け方は安心して遊べる店の見分け方にまとめています。あわせて確認しておくと、街で声をかけられても落ち着いて対応しやすくなります。
客引きは「今すぐ決めさせよう」とする点に特徴があります。だからこそ、声をかけられた側がやることは一つで足ります。立ち止まらずに歩き続け、その店が気になったなら、後から自分で公式の料金表示を確かめて入口へ向かう。仮に同じ店へ入ることになったとしても、この順番を踏んだ時点で、自分で選んでいない店に案内されるという入口を通らずに済みます。
よくある質問
- 歌舞伎町の客引きは違法なのですか?
- 新宿区公共の場所における客引き行為等の防止に関する条例(平成25年9月1日施行)が禁じています。禁止行為の例示にはキャバクラが明記され、歌舞伎町1丁目・2丁目は客引き行為等防止特定地区に含まれます。指導・警告・勧告に従わない場合は公表や5万円以下の過料の対象です。東京都の迷惑防止条例も別に働きます。
- 客引きに付いて行った先の店は、なぜ避けたほうがいいのですか?
- 同条例は平成28年の改正で「客引き行為等を用いた営業の禁止」を定め、客引きから紹介された客を店舗に立ち入らせないことを店側に課しています。つまり客引き経由の客を入れる店は、その入口の時点で条例を守っていない店だと分かります。
- 客引きに付いて行くと必ずトラブルになりますか?
- 必ずとは言えませんが、料金や店の実態を自分で確認できないまま入店することになり、トラブルの入口になりやすいのは事実です。付いて行かず、自分で選んだ店に入るのが安全です。
- 断り切れずに付いて行って入店してしまったら、どうすればいいですか?
- 注文する前であれば、退店の意思をはっきり伝えて店を出ましょう。事前の説明と異なる請求をされた場合は、その場で全額を払い切らず、警察相談専用電話#9110や消費者ホットライン188に相談してください。身の危険を感じるときは110です。